祇園祭と言えば華やかな山鉾巡行や祇園囃子(ぎおんばやし)の音色が有名です。
特に宵々々山(7月14日)からは四条通や河原町通周辺はおおいににぎわいます。
しかし、それまでの準備の段階でも見どころがたくさんあります。
タイミングが合えば見ておきたいのが、山鉾建てです。
クギを1本も使わずに毎年組み立てる様子は必見ですよ。
祇園祭の山鉾とは
祇園祭(ぎおんまつり)の「山鉾(やまほこ)」とは、祭りで巡行する豪華な山車のことを指します。
「山(やま)」と「鉾(ほこ)」は異なる種類のものですが、総称として「山鉾」と呼ばれています。
鉾は高くそびえる長い槍を持ち、山は松や人形を飾るのが特徴です。
祇園祭の山鉾は、現在34基あります。
鉾は装飾が豪華で高さがあるのが特徴で、長刀鉾や月鉾が有名です。
一方、山は比較的コンパクトで、人形や飾りが付けられます。
各山鉾の特徴
それぞれの山や鉾は、伝説や神話がテーマになっています。
そのいくつかをご紹介します。
放下鉾(ほうかぼこ)

街頭で手品などの曲芸をやって人を集める場があり、仏法を説く放下僧が人気を集めていました。
天王座に放下僧像を祀るのに由来しています。
鉾の先には、日と月、星の3つの光が地上を照らす様子を示しているそうです。
山伏山(やまぶしやま)

昔、八坂の塔が傾いた時に法力によって直したという山伏に由来しています。
山伏の名は浄蔵貴所(じょうぞうきしょ)と言い、この山のご神体になっています。
船鉾(ふねほこ)

『日本書紀』に登場する神功皇后の船出の話に由来するもので、鉾全体が船の形をしています。
船の先端には、金色の「鷁(げき)」という鳥が飾られています。

他の山や鉾にも、それぞれに由来となる物語があります。
物語を知ると、もっと祇園祭を楽しめますよ。
祇園祭の山鉾建て
山鉾建ては7月10日頃から始まり、釘を使わず「縄がらみ」という伝統技法で組み立てられます。

この技術は職人の手によって受け継がれています。
山鉾建ては道路を少し交通規制するだけで、近くをバスや車が通行する中で行われます。
歩道を歩きながら見ることができますよ。
山鉾建ての様子
山鉾建ての様子をいくつかご紹介しましょう。
月鉾は、最初はこんな感じで道路に長い板を並べて準備します。

多くの人が集まって作業をしています。
鉾に取り付ける木の葉が見えますね。

そして、完成した月鉾がこちらです。

なかなか大変な作業で、多くの人手が必要です。
各山鉾町の人は仕事を休んで鉾建てに参加することもあるのだとか。
山鉾建てにクレーン車を使うことも
背が高く、長い鉾を建てる場合は、クレーン車を使うこともあります。

クレーン車などがなかった時代は、どうやっていたのでしょうね。
山鉾建ての後は飾り付け
地域の人々や職人の手によって慎重に作られ、完成後には飾りつけが行われます。
各山鉾は7月10日~13日にかけて組み立てられます。
さまざまな山鉾の飾り付け
いくつかの山や鉾の飾り付けを見てみましょう。
こちらは「蟷螂山(とうろうやま)」で、上にかまきりが乗っています。

からくりで動き、人気があります。
こちらは「綾傘鉾(あやがさほこ)」です。大きな傘が特徴です。

傘の裏側はこのようになっています。

山や鉾の装飾品も豪華なので、ぜひご覧になってくださいね。

山鉾建てが終わると、山鉾巡行に供えて7月12日に曳き初めが行われます。
これもタイミングが合えば、見てみたいですね。
祇園祭の宵山
7月14日からはちょうちんに灯がともります。

この期間を宵山と言います。
正式には山鉾巡行(17日)の前日を「宵山」、15日を「宵々山(よいよいやま)」、14日を「宵々々山(よいよいよいやま)」と言います。
15日の宵々山からは四条通りなどが歩行者天国になり、多くの屋台が出ます。
各山鉾では祇園囃子が奏でられるので、祭りの雰囲気が一気に盛り上がります。
まとめ
この記事では、京都の祇園祭の準備である山鉾建ての様子やその過程、山と鉾の違いや由来などについてご紹介しました。
祇園祭が盛り上がるのは7月14日の宵々々山からですが、その日までの間も十分に見どころはあります。
タイミングが合えば、ぜひ鉾建てもご覧になってくださいね。
祇園祭2025年の日程や見どころについては、こちらの記事で詳しく書いています。
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